ユーロ元決済、蘇州初の国内外為替一元化取引実施

 先日、蘇州高新区の企業が発注した、総額40,000ユーロの医療設備は、中国と欧州を結ぶ国際貨物列車の中欧班列で、ドイツを出て蘇州高新区に向けて出発しました。これは、蘇州市初のユーロオフショア・オンショアが一元化された国際取引(離在岸一体化国際ユーロ証貿易業務)です。

※ オフショア人民元(CNH)とは、中国の通貨である人民元のうち、香港、シンガポール、イギリスなど中国本土外の居住者が取引する国外(オフショア)市場で取引されるものを指します。これに対し、中国本土の居住者が取引する国内(オンショア)市場(上海外国為替市場)で流通するものを「オンショア人民元(CNY)」といいます。

 今回の取引は、蘇州高新グループ傘下の鍾山蘇新公司が主導して行われました。韋氏(蘇州)医療科技有限公司が購入した医療設備は、近日中に蘇州高新区に到着する予定です。

 韋氏(蘇州)医療科技有限公司は、2018年1月に設立されてから、国外の設備を購入するのは非常に難しいという状況が続いてきました。同社だけではなく、同じような問題を抱える会社は少なくありません。会社が直接購入するか、代行会社に委託するか、どんな方法で海外の設備を購入しても、かなりの間接的な費用が発生します。

 そのため、蘇州高新グループ傘下の鍾山蘇新公司が区内の銀行と連携し、ユーロNRA口座の開設、輸入ユーザンス信用状の取得を実現し、また、通関申告や物流などの関連サービスを通し、区内企業の海外購入時の問題を解決しました。

※ NRA(Non-Resident Account)口座とは、中国国外の機関が法に照らしてクロスボーダー人民元業務を取り扱い、人民元資金の決済上の必要から、中国国内の中国資本および外資銀行に開設を申請するクロスボーダー銀行口座をいう。

 今回のユーロオフショア・オンショア一元化取引事業の実施は、人民元の双方向キャピタルプールの再開と国内外の資金のさらなる円滑な流れをもたらすだけでなく、今後もこのような海外顧客の国際ビジネスへの対応を拡大していくことによって、この地域の中小医療機器企業に大きな発展を寄与することが期待されています。

 蘇州高新区は、江蘇省「一区一業」戦略の中で、唯一、医療機器産業の発展支援に力を入れている地域であり、蘇州の推進するバイオメディカル産業の内、ハイエンド医療機器や生物医薬分野において、総規模100億元のバイオメディカル・マザー・ファンドを特別に設立し、「科学技術成果転換融資」や「栄医療融資」など、科学技術系金融の革新的な商品を発売しています。