世界トップ企業の本社、蘇州高新区への集中進む シーメンス、PIOVANなど

 企業本社の誘致に力を入れる蘇州高新区では、今年に入ってから、国内外の大手企業の同区への本社移転や新設、機能強化の動きが相次ぐ。

シーメンス中国本社

 蘇州シーメンス電器有限公司は、1994年に高新区にて設立された。シーメンス(ドイツ)は、同社をシーメンス電気製品中国本社に格上げし、事業開発、製品管理、デジタル・イノベーション・センター、研究開発及び製造を含む自社完結型バリューチェーンを構築したうえで、中国におけるシーメンス電気製品の事業を担当して、世界20カ国以上に製品を輸出する計画である。

 中国本社は、今年10月に実際の業務を開始する予定である。

PIOVANアジア本社

 ポリマーの変換・加工用補助機器製造のリーディングカンパニーであるPIOVANグループ(イタリア)は、2008年に蘇州に生産拠点を設立し、2016年から新しいブレンディング機器「Quantum」の生産を開始した。

 世界有数の機器メーカーであるPIOVAN社は、蘇州高新区でのアジア本社プロジェクトに投資し、本社オフィスビル、新工場、研究開発施設などを建設する計画を発表した。

 新工場の建設に伴い、PIOVAN中国は、バンコクのPIOVANタイ、ホーチミンのPIOVANベトナム、神戸のPIOVAN日本、ソウルのToba PNCを含む同グループのすべてのアジア生産拠点を管轄する本社となる。また、この新工場は、同グループの新しい技術を開発するための重要な研究開発センターとしても機能する。

Knorr-Bremse商用車用システム 中国R&Dセンター

 ミュンヘンを拠点とするクノールブレムゼ・グループは、鉄道・商用車用のブレーキシステムの分野で世界をリードする企業である。今回、同グループは蘇州高新区にて商用車用システム中国R&Dセンターを建設する計画を発表し、商用車向けの自動運転技術の開発を進める方針である。

 中国に新設されたクノールブレムゼ商用車用システム中国R&Dセンターは、サイエンスシティの太湖雲谷(クラウドバレー)に位置し、敷地面積は約5,200平方メートル。300人の研究開発チームを設置して、道路交通の安全性とエネルギー効率の向上を目指す。

パレクセル中国臨床サプライセンター

 このプロジェクトは、パレクセル社の中国初の臨床サプライセンターであり、同社の豊富な多国籍臨床研究の経験とグローバルな顧客リソースを活かすことで、高新区のバイオ医薬イノベーション産業のサプライチェーンをさらに充実させ、産業全体の発展を促進することが期待される。

 同センターは、世界中の3つの倉庫センター、3つのコーディネーションハブと配送センターで構成されるパレクセル社のサプライチェーンネットワークの重要な一部となる。

 完成すれば、新薬の開発において、グローバルおよびローカルのバイオ医薬品企業に、臨床試験、医薬品サプライチェーン、医薬品輸出入のサービスを提供することになる。このプロジェクトには、薬剤のラベリングとサブパッケージング、治験医薬品(IMP)承認、-20℃~25℃の温度管理された保管、治験薬の調達、治験薬の管理と配布、中央検査室サンプルキットの収集と製造が含まれる。

深セン兆威電機長江デルタ本社

 2001年に設立された深セン兆威電機有限公司は、マイクロドライブシステム、精密射出成形部品、精密金型の開発、生産、販売を専門とするハイテク企業である。同社の顧客には、ドイツのBosch、中国のHuawei、VIVO、OPPO、Xiaomiなどの有名企業が名を連ねる。

 同社は、長江デルタ地域本社を蘇州高新区に置き、R&Dセンター、製造センター、マーケティングセンターを設置して、マイクロドライブシステムの製造と研究開発を行う。

 このプロジェクトも同じく、サイエンスシティの太湖雲谷(クラウドバレー)に立地。総投資額は約12億元、第一期投資額は約8億元で、2023年に正式に稼働する予定である。

Cloudbreak Therapeuticsグローバル本社

 世界のトップ眼科新薬プラットフォームであるCloudbreak Therapeutics社は、蘇州高新区にてグローバス本社を置き、眼科新薬の開発から生産、販売まで一貫して取り組む計画である。

 総投資額は約5億元、総建築面積は5万5,000平方メートル以上、2024年から生産開始を予定している。

 同社は、眼表面、緑内障、眼底疾患をカバーする眼科領域の世界有数のプラットフォーム型革新的医薬品企業であり、すべての製品が世界初の新薬であり、市場の空白を埋め、グローバルな権利を有しているという。2023年には2~3製品の発売を予定している。

 上記のほか、固徳威(GOODWE)エネルギーR&D本社、中智グループプラットフォームビジネス本社、如意食品本社、東泰実業メインランド本社などの本社プロジェクトを誘致した。

 今年になってから、「本社ビジネス」という高度成長のキーワードをめぐり、蘇州高新区は、産業のアップグレードを目指して「ピンポイント誘致」「サプライチェーン導入」を実施ている。