高新区に新しいシンボル 蘇州博物館西館がまもなく開業

 蘇州博物館西館は、3年余りもの月日をへて内装工事及び外構工事がほぼ完了し、いよいよ今年の「十・一」国慶節連休期間中に開業することが決定した。

▲蘇州博物館西館立面図(イメージ)
▲蘇州博物館西館俯瞰図(イメージ)

蘇州博物館西館
SUZHOU MUSEUM WEST

▲内部イメージ

 蘇州高新区獅子山の麓に位置する蘇州博物館西館は、建築面積が48,365㎡で、展示面積が13,391㎡。2018年3月に着工後、2020年に蘇州市政府の公共事業プロジェクトに掲載され、2021年に開業を予定している。

◆ 設計 ◆

 「十の箱」と親しんで呼ばれている西館は、ドイツの大手建築設計事務所GMPが手がけたデザインである。GMPは都市・公共空間デザイン分野において、世界で活躍しており、これまでの代表作として中国国家博物館の増築、ブラジルのエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアや蘇州第二図書館の設計などがある。

 蘇州博物館西館のデザインは、GMPチームの「永続性」「単純性」「実用性」というモダンデザインの理念を継承している。 建物のファサードと内壁には、自然で独特の風合いを持ち、堅牢で安定した素材であるポルトガル産のライムストーンが使用されており、展示会場に軽やかさと高級感を与えている。

 一方で、「十の箱」の建物群と渡り廊下と交差する様子は、「水郷」と呼ばれる蘇州の川と道が交わる街並みを思い浮かばせる。

▲蘇州博物館西館(イメージ)
▲内部イメージ

◆ 展示 ◆

▲内部イメージ
▲7つの展示会場
▲展示会場の内部イメージ

 蘇州博物館西館では、地域初の通史展示を用いて、旧石器時代から民国時代までという一万年を超える蘇州の歴史を紹介する。呉王夫差剣、沈周墓誌銘などの代表的な重要文化財も展示される予定である(下図:左 越王者旨於賜剣 右:五聯罐)。

 別室では、「百工の城」と呼ばれる蘇州の伝統工芸の発展史も展示される。

▲明末清初 黄花梨螭龍紋大囲屏(屏風)

 さらに、国際合作館の開館特別企画展では、イギリス・ロンドンの大英博物館が所蔵する古代ローマコレクションから267点の文物が展示される予定である。大英博物館がアジアで同コレクションの文物を一斉に展示するのは初めてのことである。

 今回の特別展もまた、蘇州博物館と大英博物館との間での4年にわたるコラボ企画の始まりであり、同期間中に、両館では世界文明史を軸として歴史順に沿って展示を行う計画である。

▲国際合作館の内部イメージ

 西館の地下一階にて、子ども達の成長に注目した探索体験館を開設。親子同士のふれあいの場として、展示と教育普及の相乗効果を図り、特別な見学体験を提供する。

▲探索体験館の内部イメージ

 現在、西館の展示品は梱包して倉庫から搬出されており、8月末には展示会場へ搬入される予定である。来館者により良い鑑賞体験を提供するためには、西館の展示会場はすべて耐火性のある木製の床材を敷き詰め、展示ケースには低反射ガラスを使用し、精緻でエレガントな会場づくりに取り組んでいる。

◆ セキュリティ ◆

▲インフォーメーションカウンター(イメージ)

 車で来館する利用者たちのニーズに応えるには、現在、獅山広場では3,000台を超える駐車スペースが建設中。また、地下鉄1号線と3号線の乗換駅である獅子山駅と西館の地下庭園を結ぶ自由通路も開通。

 6月の梅雨入り前に、西館のスタッフが館前に桜並木を植えた。また、暑さに強い植物も数多く植えられ始めている。近い将来、西館の巨大な掃き出し窓から、緑と水からなる自然空間が見えるようになり、屋外の景観と展示会場の内装が照り映える景色はまた一興である。