高新区内企業がシリーズBで1億元超調達、医療機器の開発に注力
医療機器を開発している蘇州高新区内にある蘇州心擎医療技術有限公司(以下、心擎医療)は今月中、シリーズBで1億元(約17億円)超の資金を調達したと発表した。
今回の資金調達は、北極光創投をリードインベスターとし、蘇州高新区政府系金融機関(グループ会社)である蘇高新創投及び既存株主の国仟創投、安吉雲朔、泰煜投資等を引受先とする第三者割当増資によって実施されたという。
心擎医療について
心擎医療は、主として急性心筋梗塞、手術中の心筋保護及び、急症重症による多臓器不全等の臨床場面に用いる体外生命維持装置(ECLS)を開発している。創業者の徐博翎氏はイギリスのケンブリッジ大学及びドイツのアーヘン工科大学からダブルドクター(博士号)を取得し、2019年に国際機械的循環補助学会(ISMCS)創立以来初めての華人委員に選ばれた。
同社が開発している革新的なハイエンド医療機器は世界トップ企業の製品と比肩できるとし、現在、低侵襲な植込型補助人工心臓や、体外リニアモータ駆動型人工心臓、次世代型体外式膜型人工肺(ECMO)等の開発に注力している。
「将来中国の医療機器市場の伸びしろはイノベーションや、テクノロジー・ドリブン(技術駆動型)に期待がかかっています。心擎医療の秘めている大きなポテンシャルを信じています!」
リードインベスターの北極光創投共同経営者の鄧鋒氏への取材より
医療機器・バイオ医薬品産業の更なる発展
医療機器産業はバイオ医薬品産業とともに、高新区の重点産業、また区内の第1号産業として発展を推進されている。
このほど、上記のほかにも、大手金融機関から融資を受け、順調に資金調達を行った区内企業は多く存在する。
これにより、当区にて医療機器産業のサプライチェーンができつつある。
金融サービスシステムの整備
外部資本の受け入れのほか、医療機器及びバイオ医薬品産業の更なる発展に備えるためには、蘇州高新区はより充実した金融サービスを提供できるよう、金融プラットホームの構築に力を入れている。
「融医貸」提携銀行(第2弾)と協定締結
先日、江蘇医療機器科技産業パークで行われた「融医貸」第2弾銀行提携に関する協定締結式にて、蘇州高新区はそれまで1.25億元だった借入限度額を2倍の2.5億元に引き上げた。
「融医貸」とは
Fintechによる医療機器産業の発展への後押しをさらに強化するためには、高新区はいち早く2020年12月に、Fintechイノベーション型商品「融医貸」を組成した。蘇州市と当区と共通した信用保証制度を新たに作ることで、売上や担保資産がない企業においても最大300万元の融資を取得できるようにしている。
「融医貸」が設立されて以来、医療機器関係企業から広く好評を博している。現在、既存の借り手企業が41社、累計借入金額は4000万元弱に達している。
「融医貸」以外にも、高新区は、100億元規模の医療機器産業支援マザーファンドや15億元規模のヘルスケア産業支援ファンド、政府系金融機関による医療機器及びヘルスケア産業支援ファンド21本、医療投資プロジェクト117件を立ち上げた。
「第13次5ヵ年計画」期間中、高新区の医療機器産業は年間売上高の平均伸び率は30%を上回り、2020年12月時点の区内医療機器企業数は400社近くまでに増え、年間売上高は200億元、従業員数は1万人余り、専売特許は2000件弱に達している。
『医療機器及びバイオ医薬品産業発展3年行動計画(2020-2022年)』に従い、高新区は2022年までに医療機器及びバイオ医薬品企業800社、産業規模500億元を目指している。