蘇州高新区 産業融合型の「全域観光」の発展を促進

 先日、江蘇省文化観光庁が発表した「第二陣省レベル全域観光モデル区(第二批省级全域旅游示范区)」のリストに蘇州高新区が入った。「全域観光」とは、観光業と他産業分野との融合的な発展を図り、観光地全体の発展に寄与する観光業の育成を促進する新しい旅行形態だ。ここでは、蘇州高新区の取り組みと区内のおすすめスポットを紹介する。

 蘇州高新区は25キロの太湖岸線、49の山と72の保存村落コミュニティ(「保留村庄」)を擁している。行政区域の面積は332平方キロメートルで、そのうち太湖水域は109平方キロメートル。美しい山水や庭園を持ちながら、ハイテック産業が集中している蘇州高新区では、「+観光」の概念を導入することによって、「全景、全シーズン、全業界、全民」の全域的な観光モデルを推進している。

共建共享」:共に建設し、共に分かち合う

 蘇州高新区にある「樹山村」は蘇州の古城と隣接し、西には太湖があって、村内は400軒近くの農家が散在して、蘇州城外の“世外の桃源”と誉められている。樹山村が観光を推進している中で、山村の自然環境を保ちながら、区鎮は総額1億元を投入し、336戸の農家の家屋を改修し、村の公共施設と観光スポットの品質を向上させ、また緑化・清掃、安全対策なども観光地区の基準に整えた。

 「全域観光」の目的地を作り上げると同時に、村全体の様相も大幅に改善され、「共に建設し、共に分かち合う」という理念が具体的に示された。2019年、樹山村の観光収入は1.5億元近く上り、観光客115万人を迎え、村民一人あたりの観光収入は30,000元にまで増えた。樹山村は「革新と融合」の発展理念を堅持し、蘇式田舎の「マイクロツーリズム目的地」の構築に成功した。

工業・農業「+観光」

 蘇州高新区は、製造業の基盤であるハイテック企業や研究開発機構の集積地という優位性を発揮することを通じて、“高、新”の特色を持つ工業「+観光」商品の開発に力を入れている。

 漢方生薬老舗の「李良済」の呉門中医文化展覧館では、外来診察、養生、漢方薬の識別などのアクティビティを通じて、観光客参加型の観光プロジェクトで、呉門伝統医薬文化の魅力を身近に体験できるのが特徴だ。

 現在、この観光拠点は毎年3.5万人の観光客を呼び込み、観光収入は6,000万元だ。

 さらに、蘇州高新区には生態環境、歴史文化、地域機能などの総合的な優位性を発揮し、レジャー農業、農村休暇、古鎮村落ツアー、特色のある民宿を代表とする、農業「+観光」という農村旅行の新しい業態、新しいモデルを育成し、支援している。

観光サービス体系

 「省エネでエコな交通輸送」システムの一つのハイライトとして、路面電車1号線と2号線が新規投入され、その自体も新たな観光スポットとなっている。

 大陽山国家森林公園には、世界初の3Dプリントで作った公衆トイレを設置した。3 Dプリント方式を採用することにより、従来よりも大幅な人件費と部材(廃棄材料含)の削減を実現している。中国国家観光局が推進している「トイレ革命」プロジェクトの「技術革新賞」を受賞した。

 また、今年蘇州高新区は「微度假(プチ旅行)」というWeChat(ウィーチャット)のミニプログラムをリリースした。ユーザーに飲食店や娯楽関連の情報を提供する役割で、時期ごとのイベント情報を調べて、自分にあった観光コースを作成できるという。

2019年、蘇州高新区に中国国内観光客828.27万人が訪れ、観光総収入は1540.19億元を実現した。さらに、総投資額12億元の「大運河風景帯景観緑化」プロジェクトは今年中に完成され、投資総額58.5億元の「運河小鎮」プロジェクトも順調に進められている。蘇州高新区「全域観光」の将来への期待が高まる。