高新区にて旧正月を祝う 
日本人従業員の「中国春節」

 蘇州高新区は、揚子江デルタ地帯において最も影響力を持つ日系企業の集積地として知られている。

 2021年の春節休み期間中、現地の多くの日本人従業員は高新区で旧正月を祝っていた。

1 温かみの伝わる年賀状

 中国では、春節は一年中最も重要とされる祝祭日であり、家族の団欒や、親戚や友人を訪ねて新年のあいさつをすることが重んじられている。

 世聯汽車内飾(蘇州)有限公司の木村洋氏及び、竹本油脂(蘇州)有限公司の松崎健吾氏といった100名近くの現地の日本人従業員の元に、高新区からの温かい祝福や新春福袋が届いた。

三井住友銀行 前原政樹氏 自筆署名入り 年賀状
三井住友銀行 前原政樹氏に届いた高新区方文浜書記自筆署名入りの年賀状

 高新区からのオリジナル年賀状をもらった木村洋氏は

 「年賀状をいただきましてうれしい限りです。高新区政府の皆様には日頃よりご愛顧、ご助力、そして行き届いたサービスをいただいており、誠にありがとうございます。明るく楽しい一年でありますように、今年もよろしくお願いいたします」と喜んでいた。

2 一家団らんの食事

 今年は泉屋(イズミヤ・百貨店)の総経理中村学氏が中国で過ごした12度目の春節である。

蘇州 泉屋総経理 中村学
泉屋総経理 中村学氏(右)と奥さん(左)

 小売業に携わってきた中村氏にとって、繁忙期にあたる春節にはもう一つ大切な意味があるようだ。

 というのは、中国人の奥さんと結婚した中村氏は高新区で旧正月を祝うことは家族のそばにいられることでもあるからだ。

 「中国で過ごした旧正月と日本のお正月は似たような感じがします。親戚や友達と集まって団欒の食事をしたり、初日は一年の多幸を祈るのにお寺にお参りしたりして」

 これまでの旧正月は、中村氏は一家をあげて旅に出たり、登山したりしていた。しかし、今年はコロナウイルス感染拡大予防のため、高新区区内で旧正月を過ごすことに決め、区内の大陽山に登山することが今年の春節休み期間での目標だという。

 「高新区で旧正月を過ごすのはとても便利ですし、賑やかだと思います。春節休み中であっても淮海街はいつも通りに営業していますので、本場の日本料理が食べれるし、「年の市」もやっているらしいですね。蘇州楽園などの観光スポットも無料で入れたりして、これを機に子どもを連れていってみたいです」

蘇州 泉屋総経理 中村学氏一家
泉屋総経理 中村学氏一家

 中村氏から見ると、一家団らんで楽しい時間を過ごすことこそ「中国春節」の極意である。中村氏もまた、新しい一年に向けて、家族のご健康とご多幸、そして自分自身の仕事が順調に行くことを祈っている。

3 伝統的な風俗――手作り餃子と「福」の字書き

餃子作りを楽しむNGK(蘇州)環保陶瓷有限公司の従業員達
餃子作りを楽しんでいるNGK(蘇州)環保陶瓷有限公司の従業員達

 「餃子が来ましたー」というキッチンからの一声を合図に、春節のお祝いのための定番曲が流れ始め、アツアツの餃子がテーブルに出されていく。

 この餃子はすべて、NGK(蘇州)環保陶瓷有限公司の従業員たち自ら一から作ったものである。

 従業員に旧正月を存分に味わってもらうためには、NGK(蘇州)は餃子作り体験イベントを毎年開催し、日本人の従業員と中国人の従業員とともに、春節を祝ってきた。

「福」字書きを体験した驪住衛生潔具(蘇州)有限公司の従業員のみなさん
「福」字書きを体験した驪住衛生潔具(蘇州)有限公司の従業員のみなさん

 一方、驪住衛生潔具(蘇州)有限公司(リクシルグループ)の入り口に早くも赤いランタンが飾ってあった。

 「筆はこういう風に握るんですよ」「その「福」をここに貼ってください」

 今年、日本人の従業員にも旧正月の伝統的な文化や雰囲気を感じてもらうために、リクシルは「迎新春、写福字」(春節を迎え、「福」の字を書こう)体験イベントを開催した。イベント当日、部屋中にすりたての墨の香りが漂っており、現場は賑やかになっていた。

 蘇州日本人学校校長 虻川康士氏から感謝の言葉が贈られた。

 「日頃より、私たち日本人に対して高新区政府の皆様方から特別なご配慮をいただいてという風に感じながら生活しております。そして今回この(外国人)サービスセンターがオープンされるということで、また中国での生活が豊かになるという風に思っており、心より感謝しております。本当にありがとうございます」

最大の日系企業集積地という目標に向けて、

コロナに負けぬ中日の絆は

蘇州高新区において新たな物語を紡ぎだしていくでしょう

共に笑い、共に歩き、丑年をお迎えしましょう

末筆ながら、初春のお慶びを申しあげます!

新年快楽!