蘇州高新区に中日イノベーションバレー設立へ 総投資額30億元

中国江蘇省(Jiangsu)にあり多数の日系企業が進出する蘇州(国家級)ハイテク産業開発区(蘇州高新区)でこのほど、製造、研究開発、本部機能を一体化した専門的でハイエンドな日系企業集積コミュニティーの形成を目的とする蘇州中日イノベーションバレー建設プロジェクト計画が発表された。

同高新区管理委員会の王牟(Wang Mu)副主任によると、蘇州中日イノベーションバレーは高新区獅山ビジネスイノベーション区に中核部の面積350ムー(約23ヘクタール)、建築面積50万平方メートル、総投資額30億元(1元=約16円)で建設され、「産業+枠組み+支援」の計画配置に基づき、中日スマート製造イノベーション産業パーク、中日技術交流プラットフォーム、日系企業本部機能集積エリアをテーマとする三つの産業機能エリアとハイエンド付帯サービスエリアを建設する。

 このうち、中日スマート製造イノベーション産業パークは、次世代の情報技術やハイエンド装備製造(注)、新エネルギー、医療機器産業についてハイテク、高品質、高付加価値の産業プロジェクトを重点的に導入する。中日技術交流プラットフォームは、日本の科学研究機関やハイテク関連のスタートアップ企業を誘致し、区内の産・学・研プロジェクトとの連結・連携に注力する。日系企業本部機能集積区は日本の先進的な製造業やハイエンドサービス業などのリーディングカンパニーを対象に、蘇州へ地域本部や中国エリア本部、事業本部の誘致を目指す。

 在上海日本国総領事館の米澤慎雄領事は、中国へ進出する日系企業にとって国家級開発区である蘇州高新区は非常に重要だと指摘した。三井住友銀行(中国)蘇州支店の前原政樹支店長は、蘇州中日イノベーションバレーの建設に伴い、政府、企業、銀行が手を携えて努力することで「日系企業集積地」として蘇州高新区はさらにそのブランド価値と地位を高めるだろうとの考えを示した。

 蘇州高新区は長江デルタ地域、ひいては中国で最も日系企業が集中する地区の一つ。現時点で世界企業番付上位500社にランクする20社を含む日系企業550社が進出し、その投資総額は200億ドル(1ドル=約108円)で、2018年の区全体の日系企業における輸出入総額は100億ドルを突破している。