「孤独で寒い夜」のイメージよ、さらば! 「夜間経済」に力入れる蘇州市
【CNS】蘇州市のメインストリート・観前街で夜間も響き渡る売り子の声。中国伝統の庭園・網師園から流れる美しいメロディー。夜景の美しい金鶏湖の小舟から眺める街のにぎわい…。蘇州市はいま、「夜間経済」を推進するプロジェクト「姑蘇8時半」に力を入れている。
夜間のレジャーや外食を奨励して消費を促進する「夜間経済」は、中国各地で景気回復を図る重要なトレンドとなっており、蘇州市も古称・姑蘇の名を冠としたプロジェクトに乗り出した。
「人間天堂(地上の楽園)」と呼ばれる蘇州は、中国有数の観光地。昨年は国内外の観光客1億3400万人が訪れ、観光収入は2751億元(約4兆1336億円)に達し、地域総生産の6.7%を占める。その一方で中国国内では、蘇州の夜は「孤独で寒い」というイメージが根強い。唐代の詩人・張継(Zhang Ji)が蘇州でつくった詩『楓橋夜泊』では、「姑蘇城外寒山寺、夜半鐘声到客船(蘇州城外の寒山寺、夜半の鐘声客船に至る)」などと寒さやわびしさをつづり、今もその印象が続いている。
蘇州市は人口1500万人を超える大都市だが、夜間経済の推進では北京市や上海市に比べて大きく遅れ、周辺の杭州市(Hangzhou)や南京市(Nanjing)にも差をつけられている。そこで、蘇州の夜の固定されたイメージを打破するプロジェクト「姑蘇8時半」が始まった。
「蘇州のナイトライフを盛り上げよう!」。先月26日夜に開かれた蘇州市観光振興大会で、市トップの藍紹敏(Lan Shaomin)書記が自らガイド役となり、100人以上の賓客を繁華街に案内した。
「姑蘇8時半」は蘇州の歴史を生かした取り組みが特徴だ。小舟をこぐ音、夜に浮かび上がる優しい明かり、蘇州伝統の昆劇、風雅な路地や石橋、水辺に面した宿屋など、千年前のスローライフを演出して観光客を魅了する。藍書記は「『姑蘇8時半』は夜間経済の促進のためだけでなく、文化の継承にもつながっている」と意義を語る。
蘇州市の李亜平(Li Yaping)市長は、「私たちは新型コロナウイルス感染症の流行を抑制しながら観光発展策を実施し、蘇州の魅力を発信していく」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News