蘇州高新区日系企業紹介シリーズ:「蘇州富士フイルム映像機器有限公司」
日本の富士フイルムが中国蘇州市に構える生産拠点「蘇州富士フイルム映像機器(蘇州富士膠片映像機器)」は1995年に蘇州高新区に設立された。フィルム事業に始まり光学・電子機器から医療機器まで、時代に合わせた企業戦略を展開し、中国市場とともに成長してきた。年間生産高は3年連続で30億元(1元=約15円)を超えている。
この25年、同社は市場の需要に合わせ、絶えず革新を続け、当初の主力事業はインスタントカメラだったが、同社の歩みはこれにとどまらなかった。
嵇瑞康(Ji Ruikang)董事兼常務副総経理が本社から派遣されたのは2001年。デジタルカメラ事業の推進が目的だったが、今ではデジタルカメラと交換レンズを主力とする光学・電子映像事業の生産高がグループ全体の51%を占めるに留まり、今や戦略の多角化による売上が伸びている。
高新区を代表する日系企業の一つである蘇州富士フイルムは、入居から現在までの20年余りで、高新区発展の各段階を目の当たりにし、中国市場と世界経済環境の変化に合わせて、フィルムからデジタル・光学デバイス、さらには医療機器業界へと絶えず企業戦略を調整してきた。
稽副総経理は、中国の医療機器、医療バイオテクノロジーなどの産業は広範かつ長期的な発展将来性があると見ている。「富士フイルムはまさにこの市場に照準を定めていたため、中国市場向けの超音波診断装置や内視鏡といった製品の研究開発を強化した」と稽副総経理は話す。「多くの外資系企業は中国を巨大な工場と見なし、中国の労働力の安さに目をつけたが、富士フイルムは一貫して、中国は巨大な工場であるだけでなく巨大な市場でもあり、同時に巨大な技術協力の場だと考えてきた。現在、中国はさらに対外開放を推進しており、富士フイルムにとって医療機器や医療バイオテクノロジー分野で大いに能力を発揮する新たなチャンスとなっている。社内に医療機器の研究開発部門を立ち上げ、富士フイルムの中国での研究開発力をさらに強化していく」。
2010年から、蘇州富士フイルムは医療機器分野の模索を開始した。10年の発展を経て、蘇州富士フイルムには主力業務の「三本柱」が出来上がっている。一つ目はデジタル・光学デバイス事業で、主にデジタルカメラ及び車載レンズやCCTVなど業務用レンズを含む付属交換レンズを指し、総生産額の45%前後を占める。二つ目がインスタントフォトグラフィーカメラ、別名ポラロイドカメラ。三つ目が医療機器である。
富士フイルムのモデル転換と高新区の発展計画は期せずして一致した。蘇州富士フィルムの第三の「10年」において、高新区はまさに発展の重点を新世代情報技術、新エネルギー、医療機器の三分野に置いているのだ。